ストレッチに効果はあるの?
運動前や日々のカラダのメンテナンスとしてジワーっと持続的に伸ばすストレッチをされている方はいらっしゃいますが、どのような効果はあるのでしょうか?
また、皆様は何のためにストレッチを行なっているのでしょうか?
そこで本日は多くの研究結果から、「ストレッチの効果」や「どのくらいストレッチを行うべきなのか」、またストレッチをするには何かしらの理由があると思いますので、「みなさんが思っていることは期待できるのか」についてお話しします。
様々なストレッチの種類があり、ジワーっとストレッチをすることを本来は静的ストレッチングと呼ぶのですが、今回は静的ストレッチングのことをストレッチとしてお話しさせていただきます。
ストレッチの目的
何のためにストレッチをするのでしょうか…
- 柔軟性の向上
- 疲労回復
- 怪我の予防
- 筋肉痛の軽減
などが挙げられます。
後ほどご説明しますが、残念なことにストレッチでは「怪我の予防」「筋肉痛の軽減」は期待できません。
※「怪我の予防」はウォーミングアップ前のストレッチになります
スポーツ前のウォーミングアップで行なっているのに…
筋トレ後に行なっているのに…
などの意見が聞こえてきますが…
ストレッチで得られる効果
- 柔軟性の向上
- 疲労回復
- リラクゼーション
上記3点が挙げられ、みなさんが目的としていることに効果があります。
細かく説明していきます。
柔軟性の向上
ストレッチで得られる柔軟性の向上には「関節の柔軟性」と「筋肉の柔軟性」の2つがあります。
どちらも一緒じゃないの?と思われるかもしれませんが違います。
関節の柔軟性とは関節の可動域のことを指し、筋肉の柔軟性とは筋肉を押した時の硬さ柔らかさのことを指します。
「前屈で足の指に触れなかったのがストレッチをしていたらつま先に触ることができる様になった」のが関節の柔軟性が向上したということになります。
後ほどご説明しますが、関節の柔軟性と筋肉の柔軟性を向上させるにはストレッチ時間が違い、筋肉の柔軟性を向上させる方が時間がより必要になります。
ですので、多くの方はストレッチで柔らかくなったと思う時は、関節の柔軟性が上がったときです。
疲労回復
筋肉痛の軽減にはなりませんが、疲労回復には効果はあります。
仕事でもトレーニングでも使われた筋肉は縮み、休息することで筋肉は元の長さに戻り、それから修復されます。
言い換えれば元に戻らなければ回復が始まらないということになります。
縮まった筋肉は時間が経てば弛緩して元の長さに戻りますが、ストレッチをすることで素早く元の長さに戻してあげることができるので疲労回復には効果的です。
リラクゼーション
ストレッチは伸ばされている時も気持ちが良いとな感じますが、ストレッチを行なった部位の血流量が増加するため全身の血流の改善と前頭前野の血流も増加するため脳でもリラックス感を感じることができます。
なぜ血流が増加するのか?
- 末梢に停滞していた血流が改善されたため
- 末梢血管は一時的に圧迫すると、その後急激な血流増加がされるため
- ストレッチされた骨格筋細動脈で血管を拡張させる一酸化窒素が産生されるため
上記の影響で全身と脳の血流の増加と伸ばされていることへの気持ち良さを感じることでリラクゼーションにも効果的です。
ストレッチで効果が得られる条件
次に、どの様な条件で先ほど述べた効果が得られるのかをご説明いたします。
効果によっては条件が違いうため細かく説明しますが、この条件の違いが後ほどご説明します効果がない理由になりますので、「関節の柔軟性」と「筋肉の柔軟性」の違いは確認してください。
関節の柔軟性の向上するためには
関節の柔軟性とは関節可動域のことを指します。
20秒以上のストレッチで関節の柔軟性は向上できるので即効性がありますが、持続時間は10分以内になります。
起床後、仕事の合間、帰宅後、運動の合間は20秒以上のストレッチを行なってください。
長期的に関節の柔軟性を維持したい場合はどうしたらいいのか。
- 1回あたり30秒~60秒
- 1週間あたり合計5分~10分
- 週3回以上
- 2週間以上継続
上記からわかるように、1日に数回行うか、60秒を週に5回行わないと条件を達成できないので、こまめにストレッチを行うことが重要です。
「最近カラダが硬くなってきたな」「開脚前屈がしたい」と思う方は上記の条件を満たすストレッチが必要です。
筋肉の柔軟性の向上するためには
筋肉の柔軟性とは筋肉を押した時の硬さ柔らかさのことを指します。
筋肉の柔軟性は関節の柔軟性に比べるとレベルがさらに上がり、なんと1回あたり2分~3分以上必要になります。
そして、持続させるには週3回以上を3週間以上です。
1回2分以上ストレッチが必要なんて、なかなか厳しい条件ですね…
肉離れの再発防止のために筋肉の柔軟性を上げたい場合は、このぐらいストレッチを行わないと意味がないと言えます。
そのことから、スポーツをされている方がストレッチをしても、肉離れが再発するのも頷けます。
なぜ可動域は向上したのか?
条件から話が離れますが、多くの方は「筋肉が柔らかくなったから関節の可動域が大きくなった」と思っていますが、なぜ筋肉は柔らかくなっていないのに関節の柔軟性は向上したのでしょうか?
答えは「痛みに対する慣れ」です。
カラダの硬い人に聞くと「痛みを感じるから筋肉が固まってストップしてしまう」、カラダの柔らかい人に聞くと「痛みを感じずにストレッチができている」と答えると思います。
カラダを温めても冷やしても痛みを感じにくくなり関節の可動域は向上するので、お風呂に入った後のストレッチは血流が良くなり筋肉が柔らかくなったと言われていますが、痛みを感じにくくなったからとも言うことができます。
また、捻挫などで怪我をした後にアイシングして関節可動域訓練をするクライオセラピーがあります。
こちらは冷やすことで痛みを感じなくさせて関節の可動域が広がります。
ここでは割愛させていただきますが、捻挫後には結構有用な方法になります。
強烈に冷やすため注意が必要なので十分気をつけてください。
温めても冷やしてもどちらも関節可動域は向上しますが、冷やしたら筋肉は硬くなるはずなので筋肉が柔らかくなったからでは説明つきません。
やはり痛みに慣れたから可動域が広がったと言うことではないでしょうか。
また、以前の記事で「筋肉はストレッチされるとゴルジ腱器官と呼ばれる縮もうとセンサーが働くのでストレッチでは筋肉は緩まない」とお話ししております。
2分もストレッチすることでセンサーがオフになり筋肉が緩んだとも考えられますが、それ以下の長さで拡大したとしたら「筋肉は収縮した状態で痛みに慣れたため関節の柔軟性が向上した」とも考えられます。
詳しくは、ストレッチでカラダは緩むのか?をお読みください。
ストレッチでは効果が得られない
先ほども述べましたが、「怪我の予防」「筋肉痛の軽減」には効果はありません。
なぜ筋肉痛になるのかはまだはっきりと分かっていませんが、多くの研究でストレッチをしても痛みの軽減効果は僅かであり意味のある差ではないと言われています。
筋肉痛については「トレーニング後の筋肉痛は必要?不要?」をご覧ください。
なぜ怪我の予防にならないのか
ここでは相撲や体操のように柔軟性がなければ怪我をしてしまう競技で使用するストレッチではなく、ウォーミングアップで使用するストレッチのお話になります。
多くの方や多くのスポーツチームが怪我の予防のために運動前や競技前にストレッチを行なっています。
ストレッチで関節の柔軟性は向上しますが持続時間は10分までですので、ストレッチの効果は運動や競技に直接関わっていません。
また、筋肉の柔軟性を向上させるのに2分もかかります。
そんなにストレッチをしている方やチームはないと思いますので、ストレッチをしたから筋肉が柔らかくなって怪我を予防できたとは言えません。
怪我を予防できているのは、ストレッチ後のウォーミングアップです。
では運動前や競技前のストレッチは必要ないのか?
- 1カ所10秒程度のストレッチ
- 全体で行うストレッチ
- 疲れが溜まっていない日
- カラダに硬さを感じていない日
- 小学生〜大学生などの若い人
上記の場合はストレッチは必要ないと思います。
小学生や高校などの若い人はスポーツチームではストレッチをするかもしれませんが、自分たちで集まって遊ぶ前にストレッチをするでしょうか?
以前、小学生のサッカーチームでフィジカルコーチとして活動していた時、子供たちは練習前の自由時間で練習前のウォーミングアップなんて必要ないぐらい走り回っていましたし、自由時間前にストレッチをしている子なんていませんでした。
もちろん怪我もしていません。
怪我に直接影響を与えませんが必要な場合もあります。
- カラダが張っているなと感じる日
- 怪我から復帰して間もない場合
- アップ途中に気持ちを落ち着かせたい時
上記の場合はストレッチをするべきだと思います。
また、ストレッチをすることで気になる張りを覗くことでウォーミングアップにスムーズに入ることができますし、ウォーミングアップで気になるところを入念に行うようになるなど心理的にもとても効果があると思います。
このことから、ストレッチはウォーミングアップのウォーミングアップと言うことができます。
でも関節の柔軟性は向上する
相撲、体操などの競技では怪我の予防やパフォーマンスに柔軟性が必要なので、痛みに対する慣れだとしても関節の柔軟性の向上のためにストレッチは必要です。
また、普段から関節の柔軟性の向上のための条件を満たしながらストレッチを行なっています。
サッカーや野球などはどこまでの柔軟性が必要なのでしょうか…
プロでも前屈の堅い選手もいれば柔らかい選手もいます。
スポーツによってはカラダが硬くてもパフォーマンスや怪我に影響を及ぼさないこともあるので、「どこまでのストレッチが必要なのか」「本当にストレッチが必要なのか」は何とも言えないですね。
相撲や体操はストレッチの時間を練習中から時間をかけて行なっていますが、サッカーや野球などはウォーミングアップの一環としてでしか行わないので、関節の柔軟性を向上を目指すなら条件を満たせれるようストレッチを行なってください。
まとめ
本日は「ストレッチで得られる効果」「ストレッチでは得られない効果」「どのくらいの時間が必要なのか」などをご説明しました。
思っていた効果が得られていなかったかもしれませんが、ストレッチはやめましょうと言っているわけではありませんし、ストレッチを否定しているわけではありません。
私自身も行いますし、整体でも取り入れています。
要は何を目的に行っているのかが重要だと思います。
当店では「リラクゼーション目的」「運動療法の前の下地作り」のために行っています。
私がウォーミングアップ目的で何かを行うとしたらストレッチは個人で気になるところをウォーミングアップの前に行ってもらい、ウォーミングアップで柔軟性向上のためにモビリティエクササイズをします。
今回ご紹介した内容は研究結果の話ですので、体感的に感じることとは違うかもしれません。
また、ストレッチは筋肉が柔らかくなるものだと言う思い込みからなのか、まだまだ研究が進められていない分野でもありますので変わることもありますが、リラクゼーション効果は確実にあるので、痛みの出ない範囲で気持ちよくストレッチしてください。
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